このブリューゲルが描く『盲人を導く盲人』の諺は、彼の時代から400年の時を閲しても、全く有効なので、人の性(さが)の不変を思うと滑稽でもあり、また哀しくもある。
絵描きにとって未完成画を見せるとは、死を意味する。何故なら、絵描きが死ぬとその望むと望まざるとに拘らず描きかけの絵が遺されるからである。やくたいもないそれらを火に焼べるもよし、納屋に放り込むもよし。されど、世に出すとなるとそれは大いに迷惑ものになるか、寝穢い商売人の餌食となるには違いない。私が描くものなどたいした記号性も持たぬので、他人様の迷惑にさえならなければ、未完成画を見せても何ら問題にもならぬだろうが、古い世代には「お目汚し」という美徳があって、人に見せるだけでも迷惑な絵というのもある。絵描きが己の作物の前にしゃしゃり出て、絵よりも私を見て見て見てと贅言を吐くのは、誠に醜悪な為事である。『盲人を導く盲人』の喩え。元々真っ暗な穴の中とは謂えども。
せめては技法上の参考作品としてのみ以下の画像を捉えて頂ければ幸いである(ライブペインティング作品画像)。
施術者:Omori担当箇所(未完)。
お手本があるが故の未完成。
施術者:Tanaka担当箇所(未完)。