見て下さる方には申し訳ないけれど、画家には駄作の悦びというものが特権的に赦され居るように想う。我ながら、どうしようもないねぇ、こんな絵を描いてちゃ、と旧作を常にリニューアル。ああ、前の方が少しまし?でも一部分はこっちの方がいいような気もする、なんてのはどっちも駄目な証拠(苦笑)。
比較の世界では、浜の真砂は尽きるとも世に悪の種は尽きまじすぎて、極悪最低の極なる絵はまだ認定されていない。辛うじて、ナチスドイツが「退廃芸術展」で先鞭をつけているのみ。
残念ながら、それも今では鏡面世界の出来事のように真逆となってしまっている。故に優勝劣敗に踵を接する「価値観」程面白い玩弄物はない、ということになる。即ち虚妄の悦びを伝播することのみが画家の使命かね。使命とは勿論、思い込みのことさ。