NHK ETVでTED(不良中年のテディベアではない)を見た。
トレーシー・シュヴァリエの「真珠の耳飾りの少女」の回である。就中「謎を解けぬ絵こそが真の傑作である」との意見と「物語は人間の本能である」の言葉に強く共感したのだった。彼女は小説家なので、我田引水とも取れるが、想像力を自由に働かせることは、美術鑑賞の一助であるばかりか、新たな創造(必ずしも作品化に至らずともよい)の大事な繭であると思った。そして私はこうも思う。一人の画家の幸福と不幸とは、「己が画家である時、その画家は他の画家には決してなれない」という事だ。勿論、自明に過ぎよう。画家でなければどうかと言うと、鑑賞者の全ては更に己の想像、即ち己を語る事しかできないということ。更に、更に言えば「真の謎」は、あなた自身であるということだ。
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さて、私がトレーシー・シュヴァリエ女史の言葉を引いて故実けた謎はこうなる。「真の傑作はあなた自身だ」。斯くして堂々巡りが始まる。堂々巡りとは物語の別名である。