今一度、美、愛、自由を。
即ちそれは描くこと。他に何も要らぬ。否、それは既にして望み過ぎなのかも知れない。善い言葉、善い絵、善い想い、善いものしか通じない。それだけだ...。苦しみすらも悦びの種。所詮存在は哀れだが、そこがまたどうしようもなく善いものなんだ。美、愛、自由は初めから与えられている。得ては失い、失っては得る。そうした可能世界に好んでダイブしたのだろう? お前は。だから何度だってやってくるさ。この世とやらに。
そして素晴らしく出来が悪いもんだから、この世は道や場になっている。
「君は来世では何に生まれかわりたい?」
「はい! ミミズです。沢山土を耕してやろうと思います」
「素晴らしい根性だ」
「いえいえ、飢えなくていいってくらいの...この世の貧困にゃ懲り懲りしましたんで」
「さてそこの君、君は?」
「GIジョー」
「えっ?」
「だから、ジィ、アイ、ジョー!」
「なんで有機物になりたがらないのかね?」
「工場に生まれ、少年達のバトルフィールドたる玩具屋で派を競い、着せ変えられ、
バラバラにされ、放り投げられ、捨てられ、それでも戦いに明け暮れ、ニヒルに
ほくそ笑む、そんな人形に私はなりたい」
「う〜ん、何かに生まれ変ったりというのも考えものだな。しかしそれも自由だ」