これでいいのだ。何だか「天才バカボン」の科白のようだが、必死に何かに間に合うような生き方がそもそも厭だった。幼時より、一汽車も二汽車も遅れている自然児であった。周回遅れが私には一番似合っている。何もかも全て終わってしまって、祭の後、何かがそこであった気配の中、最期の生き残りのような気分で蒼穹を仰ぐ。淋しい、悲しい、それが何なのかさえ、己で拵えた熱狂の未体験の渦を、その在りもせぬ残像と共に枯れ葉のように散らす。
全て一人遊びの産物。なれど遊び足らない。
夕焼けが去り、友達は皆夕餉に帰ってしまった。一人ぽつねんと闇の中に佇む。幽鬼たちが集まって、相手をしてくれるかと思いきや。彼等にさえ帰る場所があって、いつの間にか夕焼けは朝焼けに反転している。むっくりと起き出す私の中の誰かが、「まだ始まっていないよ」と囁く。
「君は誰だい?」そう聞いてもただ何時も微笑んでいるだけ。「君は誰だい?」