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実は折角の紹介にも係わらずギャラリーマーグには行かなかった。何か物欲しそうな己の喜びように「浅ましい」、そう内心の声が応えたからだ。相応しい機会なれば向うからやってくる。他に沢山そうした機会に恵まれ、何か選り好みしているような乏しい我が、乏しい時代に呼応するような嫌な気持ちになったからだ。 前日の夕刻、マルセル・ベアリュの「ル・ポン・トラベルセ」を訪ね、たまたま手に取った泥棒人殺し紳士のピエール・フランソワ・ラスネールの「回想録」が手許不如意で買えなかった。欲しくば盗め! 彼ならそう促したろう。然れども報いは安んじて受けよ。そんな、存在論を迫られるような後ろめたい気持ちが、笠がけに切られるような痛恨の思いがした。何なんだこれは? そして当日如何ともし難い思いのままに、ギャラリーマーグがあるリュ・デ・バックとは真逆のモンマルトルの麓、メトロ・ブランシュで降り、ふらふらとブルトンが住んだリュ・ド・フォンテーヌをそぞろ歩いていた。ムーランルージュの赤い風車がずっと見える通りだ。そこは歌舞伎町程ではないが、欲望渦巻く「犯罪大通り」にすら思える程に猥雑そのものの界隈だった。 銘版を探しながらうる覚えの番地を探し歩く。まるでネルヴァルの如く。あ、リラダンが住んだ家、いまだ貧相な建物だ。あ、ロートレックが住んだアパルトマンだ。赤い風車に日参する訳だ、こんな近くに。だが、ブルトンの家は幾ら探しても見当たらぬ。辛うじて小さな広場にブルトンの名があるのみ。そしてその角のカフェは、単車を連ねた浅黒い肌の兄ちゃん、即ち暴走族の溜まり場になっていた。アラブや多国籍のレストランが犇めく中に、神秘主義専門書店があったり、コメディの劇場があったり、歌舞伎町というより、浅草だ。 暫く当りを徘徊し、サン・ド二に牡蠣を喰いにいった。そんな奇妙な一日を過ごした。 翌日バスチーユオペラ座脇のフナックに寄って、漠然とDVD売り場を物色していると、前々から見たいと思っていたフランソワ・ジロッド監督の『ラスネール』があろうことかシネマノワール(暗黒街映画)ではなく、ポリシエ(警察もの)の棚にあった。何だこれは! 少し気味が悪い思いがしたが、買わぬわけにはいかない。
by shojitanaka
| 2008-11-15 20:07
| art
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